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肺理学療法

肺理学療法

肺理学療法とは

肺理学療法(CPT)とは、溜まった粘液(痰)を肺から出し、呼吸機能を回復する事を意味します。重力と理学療法の技術を使って、肺から分泌物を排出する手助けをし、咳を誘発します。この手法は、粘液(痰)の量が多い人や分泌物の粘稠度が高い人、もしくは呼吸筋の弱い人や、感染性の咳のある人に対して行われます。肺理学療法は、体位ドレナージ、手で背中を軽くたたく事、振動を与える事と、咳嗽を促すエクササイズからなります。

 

肺理学療法を実施する

**以下のガイドラインは参照の為に提供されています。理学療法士に相談して適切なトレーニングを受けてから

肺理学療法を実施してください。 **

 

1. 体位ドレナージ

体位ドレナージは、肺に分泌物が溜まっている患者様に効果を示します。身体の位置を様々に変えて、肺に溜まっている分泌物を気管支、気管、喉へ移動する事を促し、痰や分泌物を排出しやすくします。理学療法士の指示に従って、各体位は、5-15分保持します。

 

一般的な体位ドレナージの姿勢は以下のとおりです:

 

肺の上葉:

    • 座位. 両側の肩の上部と肩甲骨の部分(赤いマークの部分)を掌を使って軽くたたく。

    • 座位. 両方の鎖骨の下(赤いマークの部分)を、掌を使って軽くたたく。

 

肺の中葉:

    • ベッドに横向きに寝て、頭部を15度下げ、横向きに寝た状態から身体を45度後ろに傾けます。枕などを使って背中を支えましょう。掌を使って軽く両方の胸(赤いマークの部分)を叩きます。

 

 

肺の下葉:

    • 頭部を30度さげて横向きに寝ます。掌を使って胸部の下の部分(赤いマークの部分)を軽く叩きます。




    • 枕やクッションを利用して頭を30度さげ、うつぶせに寝ます。掌を使って、背中の下、背骨の両側(赤いマークの部分)を軽くたたきます。


 

2. カップのように丸めた掌で軽くたたく(日本語ではタッピングと言います)

 

    • カップのように丸めた掌で、肺の部分の胸壁を軽くたたく事で、振動を起こし、空気の通り道(気管支)に分泌物を排出します。振動は気管支の壁にこびりついている分泌物を排出する手介になります。
    • 手の指をそろえて、胸壁に沿うように、図のようなカップ状の形を作ります。カップ状の形にする事で、空気を含み、タッピング時の衝撃を軽くします。
    • タッピングを行う時は、そのままではなく、患者様の皮膚を柔らかい布やタオルで覆ってから行います。指輪などは外してから行いましょう。肋骨は、強く柔軟性がありますが、強いタッピングの衝撃で骨折する事もあります。


3. 振動

振動を起こす事はタッピングよりも技術要しますが、分泌物の流れを引き起こすので、効果があります。適切なトレーニングと知識がないと、外傷を引き起こす可能性もあるので、振動法は、必ず理学療法士が行います。

 

4. アクティブサイクル呼吸法(ACBT

ACBTとは、様々な呼吸のエクササイズに使われる呼吸法で、肺から痰を排出します。体位ドレナージや軽打法(パーカッション)と一緒に行われることもあります。三つの主な手技を組み合わせて行います:

4.1. 呼吸コントロール

    • 片方の手を腹部に置き、肩と上胸部をリラックスします。息を吸いながら、腹部に置いた手がゆっくり上がる事を感じましょう
    • ゆっくり息を吐きます
    • 肩は、リラックスした状態を維持しましょう
    • リラックスした状態で、2-3秒かけて、徐々に呼吸を深くします

4.2. 深呼吸エクササイズ

    • 息を深く吸って、肺の下の部分が広がるのを感じましょう
    • 首と肩は、リラックスした状態を維持するようにしましょう
    • 息を吸った後、そのまま3秒間、息を止めてください
    • ゆっくり息を吐きます
    • 上記を3-4回繰り返します

4.3. 強制呼出手技(ハフィング、咳嗽)

    • 口を開けた状態で、一定のリズムで息を小さく吸ったり吐いたりします(ハッフィングと言います)
    • 呼吸をコントロールしながら、これを行います
    • 繰り返します
    • 分泌物が広い気道を動く時に、深く呼吸をして、ハッハッと(声を出さずに)息を吐くか、咳をします
    • 呼吸を整えます
    • 肺がすっきりするまで、もしくは理学療法士の指示があるまで、上記の手順を繰り返します


 

  • 肺理学療法時の注意

      • 胸部は、少なくとも一枚の布かタオルで覆い、保護して行います。こうする事で、直接皮膚を軽くたたく事で起こるひりひり感などを防ぐ事が出来ます。
      • 嘔吐などが起こらないように、肺理学療法は、食事の前に行うのが最善です。食事や飲み物を飲んだ後は少なくとも1時間は開けるようにしましょう。早朝、もしくは就寝前に行うのが奨励されます。就寝前に肺理学療法を行うと、溜まった分泌物を排出する助けになり、夜間の咳を減らします。.
      • 胸骨や背骨など、胸部でも骨のある部位は、直接たたかないようにしましょう。肋骨の下の部位は、決して叩いてはいけません。肺理学療法の後は、患者様に咳を促しましょう。

     

    上記の情報は、カノッサ病院(カリタス)の理学療法部で制作されています。理学療法のご予約には、28255392にお電話ください。 

  

参考文献:

  1. Shepherd R.B. Physiotherapy in Paediatrics (3rd Ed) Butterworth Heinemann (1995).
  2. http://www.cff.org/UploadedFiles/treatments/Therapies/Respiratory/PosturalDrainage
  3. http://www.cincinnatichildrens.org/health/heart-encyclopedia/tre
  4. http://www.fsma.org/cpt.shtml
  5. http://www.jtsma.org.uk/chestphysio.htm
  6. http://paginas.terra.com.br/saude/fisioajuda/protocol chest physiotherapy.html
  7. http://www.sbgh.mb.ca/campus_sbgh/PatientInfo/files/7102-1321-1.pdf
  8. http://www.uab.edu/images/pedpul/PPC/PDF/english-pound-hound.pdf
  9. http://www.webmd.com
  10. http://www.wsh.nhs.uk/documents/PatientLeaflets/5244-1.pdf