ベル麻痺とは
顔の片側の筋肉を制御する働きに影響が出ている状態をベル麻痺と言います。ベル麻痺の原因は解っていませんが、顔面神経(第7脳神経)が上手く働かない時に起こると考えられています。ウィルス感染によって神経が腫れる事が原因と考える専門家も多くいます。
顔面神経の機能
顔面神経は、第7脳神経として知られていて、脳橋から頭蓋骨内の小さい管を通って耳の後ろから出ます。以下のような役割を持ちます。
- 顔面筋肉の動きを調整する
- 味覚を感じる
- 涙腺と唾液腺を調整する
ベル麻痺の症状
通常は、顔の片側が下がります。その筋肉の問題に気付く前に、1-2日耳の後ろに痛みを感じる人もいます。また、人によっては他の症状が出る前に、音が通常より大きく感じます。よくみられる症状は以下のとおりです :
- 耳の中、もしくは耳の後ろの痛み
- 患側の耳の聴覚過敏
- 患側の顔面神経麻痺
- 瞬きが困難
- 流涙の減少
- 口角が下がる
- 味覚の変化
- ろれつが回らない
- 流延(よだれ)
- 咀嚼、嚥下の問題
左顔面のベル麻痺
治療
- 投薬
- ベル麻痺の基礎症状を治療する為に薬が処方されます。
- 物理治療
- 物理治療は、顔面筋肉の萎縮を予防し、患部の筋肉の拘縮を予防する助けになります。物理治療では、顔面のマッサージ、運動療法、筋肉の電気刺激や針治療をします。
顔面の運動療法
顔面の運動療法は、顔面の筋肉の機能を改善する事に役立ちます。これらの運動を鏡の前で行うと良いでしょう。それぞれの動きを10回ずつ、一日に3~5回するとよいでしょう。
1. 眉を上げる 眉を出来るだけ上にあげて、緩めましょう。 |
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2. 眉をしかめる 額の筋肉をしかめるように寄せて止め、その後緩めましょう。 ビデオ: http://youtu.be/VrEL8XwlGMo
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3. 片目を閉じる ウィンクをする要領で片眼を閉じます。左右順番に行いましょう。 ビデオ: http://youtu.be/UThrsAByMbw
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4. 鼻の穴を広げる 指で片方の鼻を抑え、抑えていない側の鼻の穴を広げます。反対側も同様に行いましょう。 ビデオ: http://youtu.be/swIkoVHpef4
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5. 笑顔を作る 口角をあげて笑顔を作ります。この状態で一旦止め、緩めます。これを繰り返しましょう。 |
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6. 笑顔の反対 口角を下げて、笑顔と逆の動きをしましょう。 ビデオ: http://youtu.be/2pvWMaPr1ws
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7. 唇をすぼめる 唇を前方にすぼめます。この状態で一旦止め、その後緩めます。 |
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8. 頬をふくらませる 口を閉じたまま、息を吐き、頬を膨らませます。この状態で一旦止め、その後緩めます。 ビデオ: http://youtu.be/A7HZeFPBNQY
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9. 頬をへこませる 口を閉じたまま、頬を内側に吸うようにして引き寄せます。この状態で一旦止め、その後緩めます。 ビデオ: http://youtu.be/JGbEy8ZRP9s
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10. 広頸筋を強化する 口角を下げ、首の前面を収縮させる為に下げた口角を前に突き出します。その後、緩めて、繰り返します。 ビデオ: http://youtu.be/VwkZ3L7sBxU
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ホームケアのヒント
自宅で出来る簡単なケアの方法:
- 保護用の眼鏡をかけ、眼をほこりからまもる。
- 手で目を閉じて眼を保湿する。
- 人口涙の目薬を使用し、眼を保湿する。
- 夜間は、眼をテープでとじる。
- ストローで飲み物を飲み、食べ物が口腔内に残らないようにする。
(情報提供のみとして作成されています. ご質問などある場合は、理学療法士、もしくは医師にご相談ください)
参照:
Bell’s Palsy. (2012). Physiopedia. https://www.physio-pedia.com/Bell's_Palsy
Facial Palsy. (2018). Physiopedia. https://www.physio-pedia.com/Facial_Palsy?utm_source=physiopedia&utm_medium=search&utm_campaign=ongoing_internal